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2014年10月7日火曜日

今日は、FOSTEX(フォステクス)本社を訪問しました。

今日は、東京都昭島市のFOSTEX(フォステクス)ブランドを持つ、
FOSTER(フォスター)の本社&研究開発部門を訪問させて頂きました。

FOSTERは、
車載用スピーカーユニットや、オーディオやTV用のスピーカー&スピーカーユニット。
ヘッドフォン用ユニットに、スマホや携帯などの小型スピーカーユニット。
さらに、車のウインカーの『カチッカチッ』という音を発生させる様な、小型音響パーツに、
マイクロフォンに至るまで、
『音』に関連する多くの製品を製造する、『音のスペシャリスト』と言える会社です。


FOSTEXは、その中の『Hi-Fi部門』
現在は、自作ファンの方には有名なクラフト用スピーカーユニット、ネットワークパーツに始まり、
『Gシリーズ』『GXシリーズ』等の高性能スピーカー、
スタジオ用を中心としたアクティブスピーカーと録音用機材を開発しています。


今日は、その開発の中心である本社への訪問。

開発研究施設内は、写真撮影禁止・・・。
仕方がありません。そこで開発されている製品には、
供給先のメーカー名が入っているような物がゴロゴロ。
見ているこちらはわかりませんが、
これから発表される様な製品のプロトタイプがこれまたゴロゴロ。

という訳で、FOSTEXの方に案内いただきながら、
卓上カレンダーにも載っていた、施設内に2つある無響室へ。

1つ目は、全面に吸音処理をされた無響室へ。
中に入ると圧迫感を感じます。足元は10cm角の金網。その下にも3mの空間があります。
この部屋は、建物の中に浮いているような構造になっているそうです。
説明して下さる方が、こちらを向いている時は声を聴き取れますが、
横を向かれるとほとんど聞き取れないほど、急激に反射音が吸収されていきます。
こちらはJIS箱と呼ばれるボックスにユニットを取り付け測定します。

もう一つは、無限バッフルを想定した無響室
入った正面の壁が巨大なバッフルに。
こちらはスピーカーボックスの角の反射が測定に影響する事を考え、
それらの影響が無い測定の為に製作したそうです。

この2つの部屋は今日もフル回転。
測定の順番リストには、びっしりと予定が書きこまれていました。
今日は車載用のユニットがずらっと並んでいました。

同じフロアには、1KHzで10秒という長い残響室
平行面無しの5角形。天井も斜め。
そこに反射板が取り付け、全帯域のバランスを取っているそうです。
この部屋と隣の無響室を組み合わせ、素材の吸音率等を調べたりするそうです。

その後、電波暗室と呼ばれる電波の影響のない部屋を見学。
機器から出る電磁波等の測定している部屋と、
ブルートゥースなどの機器のアンテナ性能をチェックに使用する部屋を見させて頂きました。

さらに、環境試験室へ。
ここでは強力な紫外線を当てての耐候性試験などを行うそうです。
砂漠のある国で使用する製品であれば、砂やホコリを使用してのチェック。
-30℃などの極低温でのチェック。もちろん高温に対するチェックも行っているそうです。

因みに、スピーカーに使用されているエッジの試験もここで。
現在、FOSTEXブランドのHi-Fi用スピーカーは、30年は持つような性能を確保しているそうです。


その後別のフロアへ。

こちらでは、製品の試作などを行っています。
ヘッドフォン部門、スピーカーユニット部門、エレクトロニクス部門に分かれて行われていました。
写真には取れませんでしたが、清潔感のある空間で、
ハンダ等の煙を吸い取る、排煙装置のデザインがなかなか秀逸でした。
スピーカーのユニットの試作をするエリアでは、色々な素材を混ぜ合わせ、
より理想的な紙の振動板を作るため、繊維を粉砕し漉きあげる実験が行われています。

スピーカーを製造する機器も内製。
こちらで新しい装置を作製し、性能テストを行っているそうです。
あまりに特化した機器の為、自分たちで作るのが1番との事です。

その他にも、
CAD設計されたパーツを3Dプリンターで製造する部屋。

使用する素材の強度や、構造変化量等を測定する機器、
出来上がったパーツの精度を非接触で測定する光学的な測定器、
ヘッドフォンのケーブルなどの断線ヶ所を確定し、
補強等の修正を行うためデータを採る為等に使用する、X線カメラなどが並ぶ分析室。

接着剤などの開発、成分分析等をする化学実験室。

ヘッドフォンの測定をするヘッドフォン専用の測定室が並んでいました。
ヘッドフォンの測定には人の耳の代わりになるマネキンが。
こちらはおへそから上とかなり大型。しかもかなりリアル。規格品との事です。
サイズが大きいのは、ヘッドセットのマイクなどの測定も行う為との事です。


一通り研究開発部門を見学後、
FOSTEXスピーカーの最終チェックをする試聴室へ。

試聴室はもう1か所あるとの事ですが、
そちらは残響が大変短く、開発途中のチェックが主体。
本社の試聴室は設計時からFOSTEXのスタッフが参加。
性能だけでなく、音楽を楽しめる製品かという事もチェックするための部屋との事です。


リファレンスシステムは、Accuphaseの40周年記念モデルたち。
SACDプレーヤーのDP-900&DC-901、
プリアンプのC-3800、純A級モノラルパワーアンプのA-200が、
FOSTEXの開発した音響機器用の合板で製作された、頑丈なラックに設置されています。


今回はこちらで、
インターナショナル・オーディオショウでプロトタイプが発表された『G1003MG』と、
来月発売予定のエントリーモデル『GR160』を聴かせて頂きました。

『G1003MG』はまだまだ開発途中。
それでも、ツィーターからウーハーまで、全てマグネシウム振動板に統一された魅力を感じます。
3つある10cmユニットは、上2つがウーハー、下の1つがボトムウーハー。
これらは中で仕切られており、それぞれに専用のバスレフポートを装備しています。
発売に向け、最後の詰めを行っているそうです。
その為、まだスペック等オフィシャルな資料はまだまだ先になりそうです。


そして、もう一つが『GR160』。まずはリファレンスシステムで・・・。


さすがに、アンプの格がはるかに上という事もあり、
『GR160』がんばってます!!でもこれ以上は無理!!と言った感じです。
限界も感じますが、今までのFOSTEXには無い、いい意味でのゆるさも感じました。

その後、この反対面に置かれていたサブシステムで再度試聴。


こちらには、marantz(マランツ)のエントリーシリーズ、
プリメインアンプ『PM5005』とCDプレーヤーの『CD5005』が用意されていました。

こちらで聞くと、先ほどのゆるさがより良い方向に感じられます。


初めてこのようなシステムを購入する方、
ミニコンポのスピーカーを交換する為に購入される方等を想定してのシステム、との事。

私たちの様に、オーディオで音楽を聴くことを趣味としている者で、
40歳以上になっている様な世代にとっては、
アンプだけで無く、スタンドやラック、ケーブルを購入、使用する事は当たり前ですが、
20歳代にとっては、スピーカーを鳴らす為にアンプを買うという事は、
なかなかハードルが高い世界になってしまいました。

その世代の多くの方がヘッドフォン・リスニングです。

昔は音楽を聴く為に、最低でもポータブルCDの様な音響機器を購入する必要がありましたが、
現在ではスマホがプレーヤーになっています。

今や、音楽を消費するためだけであれば、オーディオ機器は必要ない時代になってしまいました。

最近、FOSTER本社そばの中学生の社会科見学があったそうです。
好きな音楽CDを持ってきてくださいと伝えていたところ、
『初めてCDをレンタルしました』とCDを出した生徒さんがいたそうです。

今や、ソフトを買わなくても(借りなくても)音楽は手に入るのです・・・。

先の生徒さんは『いままで聞いてきた音楽と、まったく別の物の様だ!!』と驚いていたそうです。


今回の『GR160』は、そういった若い世代の方々に、
ヘッドフォンでは聞けない豊かさや、
体で受ける低域の気持ち良さを体感してもらう事を目的に開発したそうです。

その為にFOSTEXのブックシェルフ型では最大の、16cmウーハーを新たに開発。
こちらは、贅沢にも、おなじみのHR形状を採用。
長い繊維を中心とした第1層と、細かい繊維とマイカをミックスした第2層を備える、
2層抄紙振動板を新たに開発、採用しています。
ツィーターは20mmの純マグネシウム・リジッドドーム型で、明瞭さはさすがFOSTEX。
内部配線も上位モデルと同仕様。
今までの資産を活かし、コストカットをしています。

バスレフポートは底面に。壁に近づけられる等、設置の自由度を上げています。

この方法ですと、バスレフから出る低域は4方向に広がりますが、
今回は仮称『YKS』と呼ばれる吸音用のスポンジを、
背面開口部に取付け、壁近い状態での低域のコントロールしています。
このポジションを変える事で、低域の質感が変わります。
同サイズのスポンジを用意して、4面を塞げば、より締まった低域再生も可能です。


大好評の小型高級機『GX100 LTD』で採用された、設置ベースを装着(取り外しは不可)。
これにより、設置場所の影響も受け難くしています。

椅子に座ってではなく、床に座ってでのリスニングも視野に入れ、
床置きでもどうにかなる様に・・・という事も開発時に考えたそうです。


手頃なシステム、小さめの音量でも豊かさが損なわれない様なバランスを意識。
低域が出すぎると感じる方は『YKS』でチューニングして下さいと言った所でしょうか。


今までの『Gシリーズ』『GXシリーズ』が、理想を追求したアスリート系スピーカーとすれば、
今回の『GR160』は、かなりほんわかした所があります。
そのおかげで、marantz『PM5005』の様なエントリーのアンプでも、
豊かさが損なわれず、小音量でもベースの量感を感じます。

一人暮らしで、隣の部屋の事を気にしなければいけない様な時にも、
このバランスであればスピーカーで音楽が聞けるのではないでしょうか。


『GR160』のスペックはこちらから↓
http://nojima-audiosquare.blogspot.jp/2014/09/tias-2014-fostex2.html

12月13日(土)、『GR160』展示開始しました。
http://nojima-audiosquare.blogspot.jp/2014/12/fostexgr160.html




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