昨年10周年を迎えたSoulNoteは、今最も元気なオーディオブランドと言えます。
昨年の5月に10周年記念モデルの、
プリメインアンプ『A-1』とCDプレーヤー『C-1』を発売して以来、
定格出力10w/ch/8Ωの同社らしいプリメインアンプ『A-0』、フォノイコライザーの『E-1』、
高性能なUSB-DAC『D-1』と、続々と魅力的な製品を開発しています。
プリメインアンプ『A-1』、CDプレーヤー『C-1』のご紹介&試聴ブログはこちら↓
https://nojima-audiosquare.blogspot.jp/2016/04/soulnotea-1cdc-1.html
プリメインアンプ『A-0』、フォノイコライザー『E-1』のご紹介&試聴ブログはこちら↓
https://nojima-audiosquare.blogspot.jp/2016/11/soulnote102a-0e-1_25.html
USB-DAC『D-1』のご紹介はこちら↓
https://nojima-audiosquare.blogspot.jp/2017/04/soulnote103usb-dacd-1.html
今回は11月中旬に発売が開始される、
新型フォノイコライザー『E-2』を聴かせて頂くために訪問させて頂きました。
試聴は開発を行う為の音質検討用の部屋で行わせて頂きました。
※SoulNote製品の開発用試聴室
準備されていたスピーカーはPMCの『MB2-SE』。
プリメインアンプの『A-1』を2台使用し、それぞれの左chのみを使用して接続されていました。
そしてメインのフォノイコライザー『E-2』です。
※SoulNote E-2 フォノイコライザー NEW RIAAカーブ設定時
発売以来、高い人気を誇るフォノイコライザー『E-1』をさらに進化させ、
機能面でも大きなステップアップが行われたのが『E-2』です。
試聴は先に行わせて頂きましたが、まずは『E-2』の紹介から。
入力は4系統。
『E-1』でも評価の高いMCカートリッジのバランス入力専用端子(XLRorRCA)が1系統、
MM/MC両方に対応したアンバランス入力端子(RCA)が2系統、
さらに話題のDS Audio社の光電式カートリッジ用入力端子(RCA)が1系統装備されています。
光電式カートリッジはフォノイコライザーから給電される仕様の為、
通常のカートリッジを損傷しないよう、万全の安全対策が考えられています。
その1つが、通常動作確認用のランプが赤なのに対し、
光電式をセレクトしている場合は青いランプを点灯させる事で注意を促す対策です。
※光電式カートリッジを使用している際の青いランプ
光電式カートリッジ用のイコライザー回路は、SoulNoteオリジナルの設計になっています。
シャーシも新設計となっています。
サイドパネルはフロントパネルと同様のアルミパネルを採用しています。
※E-2 天板
特徴的なのが天板。実は固定されていません。
薄いスチールの天板を後方から滑らせるように装着し、
抜けない様に後方に蓋をしているだけです。
完全に固定してしまったり、天板を厚くしたりすると、
SoulNoteらしいヌケの良いストレスレスなサウンドを殺してしまうのだそうです。
天板が無い時のオープンなサウンドを目指し、厚みや固定方法を吟味したそうです。
※E-2 内部(プロトタイプ)
天板を外した後、シャーシ後方の天板固定用のバーを装着しています
パワーアンプ等に使用されてもおかしくないトロイダルトランスが搭載されています。
向かって右側に、L/R独立のイコライザー回路が搭載されています。
このL/R独立の基板は、空間表現に対しても大きなアドバンテージとなっていました。
※E-2 MM/MC用イコライザー回路(プロトタイプ)
こちらのイコライザー回路はRIAAカーブの他に、
合計144種類のイコライザーカーブを設定する事が可能です。
切り替えはフロントパネル左側の3つのノブで行います。
高域減衰周波数(Roll Off)・6種類、
低域増幅周波数(Turn Over)・4種類、
超低域増幅制限(Low Limit)・6種類を、
3つのノブでそれぞれ独立して変更する事ができ、
その組み合わせでイコライザーカーブを設定できます。
※RIAAカーブ時の表示
RIAAカーブを選んでいるときは、緑のランプが点きます。
※このランプは基本的にRIAAカーブ選択時は消えています。
RIAAカーブ以外のイコライザーカーブの選択時、および使用時にはランプが点灯します。
また数値等の印字は製品版ではもう少し濃くなるそうです。
RIAAカーブ以外を選んでいるときは、RIAAカーブ以外のイコライザーカーブの選択時、および使用時にはランプが点灯します。
また数値等の印字は製品版ではもう少し濃くなるそうです。
RIAA用の設定値以外のポジションが赤いランプとなります。
※RIAAカーブ以外のポジションを選択している時
この3つのノブで選択された設定値にあわせて、
イコライザー基板上にあるコンデンサーをリレーで切り替え、目的のカーブを作り出します。
それぞれのレーベルのカーブ(時代によって変わっている分も)に関しては、
取扱説明書にそれぞれの設定値が表記されており、
簡単に目的のカーブを選択、設定出来る様になっています。
出力段も大変贅沢な仕様です。
※E-2の出力段(プロトタイプ)
出力段に採用されているトランジスターは、
プリメインアンプ『A-0』にパワーアンプの出力用に搭載されたものと同じ。
『A-0』はプリメインアンプと言う事になっていますが、
実はプリアンプとして設計されている面もあります。
フォノイコライザーでプリアンプ相当の出力段を持つと言う製品はなかなかありません。
それでは試聴レポートを。
今回はMMカートリッジにSHUREの『V-15 TypeV』、
MCカートリッジはDENONの『DL-103』、audio-technicaの『AT-33R』、
光電式カートリッジはDS Audioの『DS002』を使用しました。
『E-2』では、MMカートリッジの高音質再生に関してもより進化していました。
MMカートリッジの魅力であるキレを引き出すだけでなく、
『これMCカートリッジ?』と思うほどの肌理の細かさを感じさせます。
ボーカルのニュアンスも豊富で、一辺倒にならないサウンドに好感が持てます。
個人的には10年程MMカートリッジを使用していなかったのですが、
ちょっと(と言うか、かなり)MMカートリッジを見直しました。
※主な試聴ディスク Stacey Kent『I know I dream:the orchestral sessions』(88985462901)
引き続きDENONの『DL-103』。これも驚きです。
『DL-103』でMC用昇圧トランスを使用せずに、
これほどまで沈み込む様な低域を聴いたのは初めてです。
ヘッドアンプやイコライザー回路の初段の増幅率で電圧を上げるタイプでは、
低域の伸びが無くかまぼこ型の特性になる事が多いのですが、
『E-2』は量感、重量感、解像度どれをとっても驚きです。
また質の悪い昇圧トランスでは高域が伸びないのですが、
『E-2』は『DL-103』が丸針だと言う事を忘れるくらい素晴らしい伸びを実現しています。
※主な試聴ディスク Glenn Gould『Bach:The Goldberg Variations』(88875102811 )
Mstislav Rostropovich『J.S.Bach:Cello Suites』(9029596848)
DS Audioの『DS002』は、発電系の質量が軽い事と、磁界の影響がない事による、
ストレートで立ち上がりの良い、クリアーで鮮度感の高いサウンドがストレートに味わえます。
一般的なメローなアナログサウンドとは違う、レコードの新しい魅力を引き出してくれそうです。
特にピアノの様な立ち上がりの鋭い楽曲や、
オーケストラの低域の解像度の高さ、個々の楽器のセパレーションには驚きです。
※主な試聴ディスク Glenn Gould『Bach:The Goldberg Variations』(88875102811 )
大植英次/ミネソタ管弦楽団『Exotic Dances from the Opera』(RM1505)
最後にもう一度MCカートリッジをと言う事で、audio-technicaの『AT-33R』を。
現在のテクニカ・サウンドの始まりと言えるカートリッジ。
それまで中高域にエネルギーの軸があり、低域の量感が少なかったサウンドから、
全帯域フラットなエネルギーバランスへとシフトしたカートリッジです。
中高域の解像度だけでなく、低域の音程感もばっちり。
現代的なMCカートリッジの魅力を引き出してくれました。
※主な試聴ディスク Stacey Kent『I know I dream:the orchestral sessions』(88985462901)
Glenn Gould『Bach:The Goldberg Variations』(88875102811 )
『E-2』は、通常のMM/MCカートリッジ用のフォノイコライザーとして考えても、
55万円と言う定価以上の価値あるサウンドを提供してくれるでしょう。
そのうえで、RIAAカーブ以前のモノラル時代のレコードを、
より突っ込んで楽しみたいと言う様な方にも幅広く対応してくれます。
仮にイコライザーカーブの変更や、光電式カートリッジへの対応が無かったとしても、
十ニ分にその価値のあるフォノイコライザーです。
正直RIAAカーブ以後のレコードしか持っていな私も『欲しい!!使ってみたい!!』と感じました。
また、いままで専用のイコライザーを組み合わせるしか手が無かった、
DS Audioの光電式カートリッジにもそのまま対応でき、
今まで以上により多くの方に光電式の魅力をご体験頂けるチャンスが生まれる点も魅力です。
『SoulNoteとしての殻を破りたかった。ただし価格に関しては現実的なもので』と、
開発者の方は『E-2』の開発姿勢、目標を話して下さいました。
製品の完成度、独自性を含め、その目標は高いレベルで実現しています。
レコードが主食の皆さんで、次のフォノイコライザーをお考えの方は必聴です。
SoulNote『E-2』のご紹介はこちら↓
https://nojima-audiosquare.blogspot.jp/2017/10/soulnote.html
E-2 MM/MC/光電式カートリッジ対応フォノイコライザー NEW
定価550,000円(税別) 11月上旬~中旬発売開始
入力
・MC専用バランス入力 : 1系統(RCA、XLRのどちらか片方のみ使用可能)
・MM/MC対応入力 : RCA端子*2系統
・光電式カートリッジ専用入力 : RCA端子*1系統(東芝、トリオ等には非対応です)
出力 : RCA*1系統、XLR*1系統
入力感度
・MC : 0.4mV
・MM : 4mV
・光電式 : 50mV
入力負荷抵抗
・MC : 3Ω、6Ω、12Ω、24Ω、40Ω、100Ω
・MM : 47kΩ
MM負荷容量
・MM : 100P、200P、350P
利得
・MC : 72dB
・MM : 52dB
・光電式 : 30dB
RIAA偏差 : ±0.2dB
イコライザー周波数
・高域減衰周波数(Roll Off)/kHz : 1.59、2.12(RIAA)、2.59、3.18、6.89、FLAT
・低域増幅周波数(Turn Over)/Hz : 250、390、500(RIAA)、630
・超低域増幅制限(Low Limit)/Hz : 50(RIAA)、71、100、125、150、FLAT
サイズ : W430mm*H160mm*D410mm(端子等含む)
重量 : 約20kg
付属品 : スパイク、電源ケーブル
シルバー仕上げは11月上旬、
ブラック仕上げは11月中旬から出荷開始となります。
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