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2017年10月17日火曜日

今回は少々個人的な話を。Bowers&Wilkins『Matrix801 S3』の思い出。そして次のスピーカーは?

約20年ぶりに自宅のスピーカーを新しくする事にしました。

20年間使用していたスピーカーは、Bowers&Wilkinsの『Matrix801 S3』。


※Bowers&Wilkins Matrix801 S3 ブックシェルフ型スピーカー

当時は、数年前に当時の日本マランツが新しい代理店となり、
それまで以上に店頭で『B&W』を見かけるようになり始めた頃でした。
※と言っても、B&Wの『Matrix 800Seres』が展示されている店は、都内でもまだまだ少数でした。
また、いくつかの雑誌社等で試聴リファレンスの1つとして使用はされていましたが、
今の様な人気は無く、DIATONE、TANNOY 、JBL、Infintyなどと比べると決して有名でもなく、
その特徴的なデザインが、どちらかと言うと敬遠されていました。
※実際に購入を決めた際にも、仲間や当時勤めていた店の同僚からも、
『なんで、今更B&Wなの。他に新しいモデルがあるでしょう』と言われたものです。

B&Wの名前が一般的になったのは、
『Matrix800 Series』の弟モデル『CDM Series』が発売された1996年以降になります。
※実際にヒットしたのはそれらの後継機『CDM-SE Series』(1998年発売)からと言えます。
それに伴い『Martix800 Series』の売り上げも伸び始めました。
そして1998年末に『Nautilus800 Series』が登場し、
現在の市場における不動の地位を確立する事になるのです。


私が『Matrix801 S3』の購入したのは、1997年の春。
次期モデルの噂はあっても、まだ何もわからない状況でした。

正直な話、購入の数ヶ月前までは候補にもあがっておらず、
実際には当時の『ハイエンド・スピーカー』の思想を具現化した、
アメリカのThiel、AVALON、Martin Loganや、
小型で高性能なイギリスのAcoustic Energy(AE)や、
カナダのFocus Audio等を候補に、悩んでいたものです。
『Matrix801 S3』は試聴室にありましたが、なにせ基本設計ともいえる『801』は1979年の登場。
その後『801F』、『Matrix801 S2』とモデルチェンジを繰り返してきたからと言っても、
過去のモデルと言ったイメージがありました。
さらにウーハーのコーン紙の重量で共振周波数を下げる設計だった事もあり、
一般的なアンプでは低域がうまくコントロール出来ませんでした。

そんな折、あるメーカーさんの、
発売間近のプロトタイプのセパレートアンプが試聴室に持ち込まれ、
その試聴に使われたのが『Matrix801 S3』でした。

そこで聴いたサウンドが購入の決定打に。

定位、前後、高さの空間表現、どれをとっても今まで聴いた事のないものでした。
さらに、予算内で考えていた『ハイエンド』と言われるスピーカー達では感じなかった、
楽器と楽器の間の空間にも音が満ちていているのを感じたのです。
そこに、作られた空間ではなく、現実の空間を感じたのです。

『801って、こんな音で鳴るんだ』

そのパワーアンプの設計は新しい思想で設計されており、
今後のモデルは、その考えを取り入れて行っていくとのお話も頂きました。

当時は小型スピーカーを使用して、空間表現の魅力を引き出す事に腐心しており、
この『Matrix801 S3』が提示してくれた空間を自分の物にしたいと思ったのです。
アンプに関しては、今は無理でも将来この様なアンプが当たり前になれば、
この様な空間表現を、今よりも現実的な価格で手に入れる事も可能ではないだろうか、
そういった思いが浮かびました。

それから、B&Wを開発用のスピーカーに使用しているメーカーや、
実際にスタジオ等での『Matrix801 S3』の設置方法等に関する情報を集めました。
※この頃『Matrix801 S3』は付属品にキャスターがあった為、
ブックシェルフ型ではなくフロアー型として有名雑誌で紹介されている事もありました。
雑誌試聴記事も、床置きで行われているケースも多々ありました。
メーカーの試聴室では平均30cm、スタジオでは60cm程持ち上げられて使用されていました。
また、当時所有していたパワーアンプをBTL接続にしてモノラル化すれば、
駆動面に関しても当面は十分満足できそうだ、という見込みも生まれました。

これらを踏まえ、どうにかなりそうだと翌年の春にオーダーを行ったのです。


ちょうど当時住んでいた賃貸の更新時期という事あり、
『Matrix801 S3』を迎え入れる為に引っ越しも行いました。

引っ越しの翌週。どうにか片付いた部屋にスピーカーが到着。
今考えると良くやったものだと思いますが、一人で開梱。
サウンドアンカー社製の専用設計スタンド『SA801』を取り付け、
一先ずの設置、配線が終わったのは、もう日が沈んだ後でした。


また当時の『Matrix800 Series』には、2本のスピーカーの測定結果が同梱されており、
それを見た時に、『さすがにスタジオで使用されるスピーカーは違うな』と思ったものです。


12畳の部屋を縦長に使い、後ろの壁から50cm程離れた場所に設置。
※この為、スピーカーのフロントバッフルは壁から1mほど前にある事になります。
また、スピーカーの間にはラック等は一切ない状態でした

最初にかけたCDは今でも覚えています。
インバル指揮、フランクフルト放送交響楽団の『マーラー:交響曲5番』でした。
DENONレーベルで出ていた、ワンポイントマイク録音の盤です

音が出た瞬間、スピーカーの後方の壁の更に奥5m位の場所から、
トランペットのファンファーレが鳴り響きました。

『あぁ、奥行き感とか、空間内の定位って言うのはこの事なんだ』と、
初めて実感したのがこの時でした。
この経験が、その後のオーディオ再生の大きな指標になりました。

そして、より確実な空間表現を求める為、
①CDプレーヤーや、プリアンプは、左右の回路が同一パターンで配置されている事。
②パワーアンプはモノラル構成の物を使用する事。
この2つが、その後のオーディオ機器を選ぶ際の重要な決め手となりました。

CDプレーヤーの変更、アンプの変更時にも、この2点は製品選定の重要な項目となりました。

その後の2回の引っ越しの末、現在の家に落ち着く事に。
そして今から約10年前に、現在使用しているアンプ、
Mark Levinsonのプリアンプ『No.326S』とモノラルアンの『No.434L』を購入。
このセパレート・アンプも、最初にのちに弟モデルとなる『No.320S』購入を決めた後に、
Mark Levinsonの工場移転問題などで1年ちょっと待たされました。
まぁ、その結果『No.326S』が登場したので、今思うと待たされて良かったと思っています。

『Matrix801 S3』の購入を考えていた時に想像していたレベルを超える機器を、
結果導入する事になりましたが、それだけこのスピーカーに魅力があったのです。
パワーアンプの設置位置(スピーカーケーブルの長さ)で大きく音質が変わる事もわかり、
パワーアンプをオーディオラックから、スピーカーのすぐ脇に移動もしました。
シングル・ワイヤリングをバイ・ワイヤリングに変更もしました。
色々な事を教えてくれたスピーカーでもありました。

その後、CDプレーヤーのグレードアップは命題でしたが、
購入を考えていたmarantzの『SA-7S1』の後継モデルの発売が、
震災でキャンセルされ、どうしたものかと考えながらも決め手がなく長年悩んでいました。
が、昨年末marantzから『SA-10』が発表され、音も聞かずにオーダーをしました。
そして『SA-10』の導入により、より明確な空間表現を手に入れる事が出来ました。

それと共に『Matrix801 S3』でやろうと思っていた事は、
CDプレーヤー変更前から、ほとんど全てやりつくした感も強くなってきました。
もちろん、この5年程の間に発表されたスピーカー達の進化にも興味がわきます。
個人的なオーディオにおいて、音色という項目を左程重視していない身としては、
ユニットだけでなく、エンクロージャーなどの設計が大きな転換期を迎え、
今まででは考えられないような低歪なスピーカーが続々と登場している事も、
次のスピーカーを考える大きな理由にもなりました。
※音色が左程重要で無くなったのも、『Matrix801 S3』を長年使用したからかもしれません。


といっても、無尽蔵な資金がある訳でありません。
そこでこの数年、次のスピーカーに何を求めるか考えていたことは、基本4つ。

①予算、ペア・150万まで(大事です)
②現代だからのこそマテリアルと、考え方に裏打ちされた設計のスピーカー
 (おそらく10年以上使用する事になりますから、しっかりとした設計を望みます)
③約20畳のリスニングスペースに合うサイズ(といってもリビングなので大きすぎはNG)
④あまり音をしっかり聴いた事の無いブランド、製品(チャレンジのし甲斐があります)


そんな都合の良いモデルはなかなかなく、悩んでいた所に、
この4つの項目を満たす伏兵が現われました。


それは、あと数日で我が家にやってきます。


担当者が購入したスピーカーは?続きはこちら↓
http://nojima-audiosquare.blogspot.jp/2017/10/blog-post.html




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