純A級ステレオパワーアンプ『A-75』を先行で試聴させて頂きました。
※Accuphase A-75 純A級ステレオパワーアンプ NEW
2014年3月に登場した『A-70』の後継モデルで、
同社のトップモデルである『A-250』のエッセンスを継承したモデルです。
ちなみに、開発の中心メンバーは『A-250』の開発に携わった方で、
パワーアンプとして、理想的な物量を投入することが出来た『A-250』を超えるような、
音楽的な満足度(開発者は『グッとくるような』と表現していました)を目指すとともに、
物理特性のさらなる向上も実現すべく開発を行ったそうです。
出力段は10パラレル・プッシュプル構成。
出力素子を増やす事でリニアリティを向上させるとともに、
動作の安定度を上げる、Accuphase得意の回路構成となっています。
※Accuphase A-75の出力段基板
写真でも確認できるように、複雑な回路パターンになるであろう回路構成ながら、
今までにないシンプルで美しいパターンの基板になっています。
基板にはガラス布フッ素樹脂(テフロン)を採用。
一部にはAccuphaseオリジナル仕様のコンデンサーを採用するなど、
『A-250』を越えたいと言う技術者の思いがうかがわれます。
パーツに関してはオーディオ用で無い物も積極的に試聴、検討し、
音質面でのアドバンテージがあるものを採用していったそうです。
※パワーアンプ段に採用されたオリジナル仕様のコンデンサー
電圧増幅段には表面実装基板を採用し、
入力信号を増幅する回路を2回路並列で使用する『MCS+回路』を搭載。
スピーカー出力への取り出し部を変更する事で、配線の引き回しを最短&最適化しています。
※従来は基板の真ん中あたりから引き出していましたが、
『A-75』ではスピーカー端子に一番近い最後部から引き出しています。
※従来のスピーカー出力取り出し部(例:A-70)赤い丸の部分
※A-75のスピーカー出力取り出し部
この引き出し位置は『A-75』が最初。
パワーアンプ部の回路やパターン等が大幅に進化した事で、
引き出し後の内部配線の引き回しなども、大幅に見直す事になったそうです。
電源用のブロックコンデンサーに至っては、
もう少し、もう少しの思いから出来上がったコンデンサーが、ほぼ『A-250』と同等のものになってしまったとの事です。
容量は100,000μFで『A-250』と同じ容量となっています。『A-75』ではこれを2基搭載しました。
※A-75に搭載されたブロックコンデンサー
横に並べたCDからも、コンデンサーのサイズがうかがわれます。
入力部にはディスクリート構成のフルバランス回路が導入されています。
※ディスクリート回路による、フルバランス回路を採用した入力部
大掛かりになる構成を、表面実装パーツを採用する事でディスクリートで実現。
入力から出力まで、フルバランス伝送を実現しています。
また、近年のAccuphase製アンプの特徴ともいえる、
スピーカー端子の基板への直付けや、
出力回路のコイルに四角形の銅線を使用したエッジワイズ・コイル、
機械式リレーではなく、MOS-FETを使用した半導体スイッチによるプロテクション回路等、
回路全体のより低インピーダンス化する設計も、推し進められています。
またS/Nに関しても『A-70』に対し1dBですが、さらに低ノイズ化を果たしています。
ダンピングファクターに関しても『A-70』の800から1,000へと向上。
カタログ数値に関しては1,000以上の数値を書くつもりは無いそうですが、
実測値は2,000を軽く超えているそうです(しかも2,000後半らしいです)。
とこれらの情報は試聴後のお話し。
いつも通り、まずは聴いて下さいからスタートです。
プリアンプは『C-2850』。
プレーヤーは先日『DP-720』の展示機を処分しましたので、今回は『DP-560』です。
スピーカーはFOCALの『Sopra No.2』を使用しました。
サウンドの傾向は、先日聴かせてもらったばかりの、
6月下旬発売開始予定のSACDプレーヤー『DP-750』を彷彿させる、
『A-70』よりも太さと、実在感を感じさせるサウンドです。
ただし過去の純A級ステレオパワーアンプの『A-50』や『A-60』とは違い、
中低域以下の帯域がぼやける事はありません。
解像度感や静寂感は『A-70』と同等か、それ以上でありながら、
ディテールをつぶす事無く、重量感とエネルギー感をより感じさせます。
※大型ウーハー全盛期は『A-50』の様な、量感を重視した方がスピーカーの能力を発揮できたそうです。
現在のような小型ウーハーを複数使用する現代的な設計のスピーカーは、
低域の解像度の面ではより進化していますが、エネルギー感に関しては弱いと言った面があります。
現代的なスピーカーの利点を活かしながら、より充実したサウンドを目指す事が、大きな目標になっているそうです。
中低域以下の音、例えばベース等の音程をキッチリと追える様にしながら、
エネルギー感は損なわないようにしたい。
音楽の持つ静寂感と、ダイナミックな躍動感を両立し、
より充実した音楽体験が出来るようにしたい。
前作『A-70』のAB級かと思えるような低域のキレを活かしながら、
より密度感と躍動感が加わったサウンドを聴くと、
開発者のこれらの目標は、十分(以上)に達成出来ているのではないでしょうか。
また音像の周りの空間の透明性も高く、左右のセパレーションや、
広がる様な空間的な表現に関しては、従来のA級アンプの枠を超えていると思います。
※逆に、中央に音像を集めたいという方は、お早めにモデル末期の『A-70』をお買い求め下さい。
再生中に、表示が大変見やすくなっている事に気づきたずねてみたところ、
プログラムを新たに開発し、ちらつきを抑えるとともに、
LEDによるバー表示もより滑らかに動くように改良を施したそうです。
またスピーカーのショートを検出する回路を搭載。
ショートを確認するとメーターを点滅させ、警告を行うようになっているそうです。
塗装に関しても変更があり、ヒートシンクはざらつきの無い新しい塗装方法に。
トップパネルは塗装から、ヘアライン仕上げに変更されています。
この様な細部のブラッシュアップも、Accuphaseらしいと言えます。
Accuphase A-75 純A級ステレオパワーアンプ NEW
定価1,200,000円(税別) 7月中旬発売開始予定
定格出力
・ステレオ時 : 60w/ch(8Ω)、120w/ch(4Ω)、240w/ch(2Ω)、480w/ch(1Ω)※
・モノラル時(BTL接続) : 240w(8Ω)、480w(4Ω)、960w(2Ω)※
※の負荷は音楽信号に限る
ダンピングファクター : 1,000
周波数特性
・定格連続出力時 : 20Hz~20,000Hz(+0、-0.2dB)
・1w出力時 : 0.5Hz~160,000Hz(+0、-3.0dB)
入力 : RCA、XLR端子*各1系統(フロントにて切替可能)
ゲイン : 28.0dB(GAINスイッチ:MAX時)
ゲイン切替 : -12dB、-6dB、-3dB、MAX(28dB)
サイズ : W465mm*H238mm*D515mm
重量 : 43.9kg
付属品 : 電源ケーブル(APL-1)
ご予約受付を開始しました。
オーディオスクェア藤沢店 TEL 0466-31-0603
6月下旬発売開始の、SACDプレーヤー『DP-750』のご予約も承り中です。
『DP-750』のご紹介&先行試聴ブログはこちら↓
https://nojima-audiosquare.blogspot.com/2018/05/accuphasesacddp-7506.html
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